耐用年数の問題
不動産に限らず、物には耐用年数が定められています。
不動産であれば、構造別(木造、鉄骨造など)、用途別(住宅、事務所、店舗など)に決まっています。
耐用年数は、木造住宅なら22年、鉄骨造住宅なら34年です。
でもこの耐用年数は、物理的な耐久性を示すものではありません。
減価償却計算のための税法上の償却年数で、意図的に短く定められているのです。
短く耐用年数を設定することで、減価償却額は大きくなります。
これは、早期の投下資本回収、内部留保の確保によって、経済をより潤滑に回すためだと考えられます。
実態はもっと長く不動産は存在し、収益を生みます。
でも、金融機関は、耐用年数を超える融資を実行できませんでした。
満室稼動していて、確実にローン回収が見込める優良物件でもです。
低金利で収益が低下している金融機関にとって、金額が大きい不動産融資の機会を逃すことは損失です。
そこで最近は、耐用年数に関する意見書を外部から取得して、その年数をもとに融資を行っています。
法定耐用年数を超えても融資可能になり、不動産の流動性は高まりました。
今後は、融資期間でなく融資額の問題が大きくなるでしょう。