xevoで賃貸併用住宅を建ててみた

親の土地に賃貸併用住宅を建てます。プランや資金計画、失敗しない賃貸運用を記録していきます。

ホテル供給過剰の理由

ファーストキャビン、WBFホテルとホテル運営会社が立て続けに破綻しています。

WBFはあまり馴染みのないホテルブランドかもしれませんが、新しいホテル開発の話を聞くとWBFの名前が多く、ここ数年の開業ペースは非常に速かったです。

破綻については、コロナウイルスの影響が大きいのは間違いありませんが、それ以前から大阪や京都ではホテルの供給が過剰で、苦戦を強いられていました。

 

では、なぜここまでホテルが乱立してしまったのでしょうか。

大阪エリアの不動産投資家目線で考えてみます。

 

大阪の本町地区は、旧来からの大阪の中心ビジネスエリアです。

リーマンショック前は、幹線道路の背後地でも坪当たり1万円台前半のオフィス賃料水準でした。

しかし、リーマンショックにより、オフィス賃料は坪当たり7,000~8,000円と賃料は下落しています。

たとえば、1,000坪のビルであれば、7,000円×(1,000坪×70%)=490万円の賃料となります。

※ビル内に共用部分(廊下、トイレ、エレベーター等)を含むため、30%の共用部分を考慮し、賃貸可能面積を70%として算定しています。

 

オフィスの収益性が落ちてしまったので、不動産投資家は、より収益性の高いアセットへと建替えていきます。

そこで、景気に左右されにくい賃貸マンションに白羽の矢が立ちます。

賃貸マンションであれば、坪1万円の賃料設定が可能です。

また、レンタブル比率(賃貸可能面積の比率)もオフィスより高く(共用部にトイレや流し台が不要)、建築費もオフィスより安いです。

想定される賃料は、10,000円×(1,000坪×80%)=800万円で、オフィス賃料490万円よりも高くなります。

結果、ビジネスエリアであった本町地区にマンションの供給が増えていくことになりました。

 

その後、景気が回復し、観光政策も相俟って、外国人観光客が大阪で激増します。

ホテルの稼働率は大きく上昇し、1部屋に複数人が宿泊するアジア系観光客のおかげで、宿泊単価も上昇しました。

当時はホテルが不足しており、大阪で出張時のホテルの予約が取れないなんて時期もありました。

そこで、不動産投資家は、今度はホテルを供給していきます。

ホテルは売上・利益が非常に好調であったため、高額な賃料で入居してくれます。

賃料水準はけっこうばらつくのですが、坪当たり15,000円くらいでも賃料負担できるようなホテル運営状況でした。

1,000坪あれば、共用部を含んだ丸々一棟を借りることになるので、レンタブル比の概念もありません。

すると、15,000円×(1,000坪×100%)=1,500万円の賃料となり、マンションのおよそ倍の水準になります。

 

しかもホテルは、ビルやマンションでは通常かかる清掃などの建物管理費、水道光熱費をホテルテナントが負担してくれます。

さらに、10年以上の定期借家契約を結ぶので、長期間空室も発生しません。

オフィスやマンションよりも遥かに収益性が高いことから、投資家はバカの一つ覚えでとにかくホテルを建てまくったわけです。

そして、需給バランスの崩壊、日韓関係の悪化によるさらなる需要減、コロナウイルスでとどめをさされたわけです。

 

破綻するホテルが今後も出てくることは間違いありません。